ココとマシロ



もちろん、笑華にはマシロの姿は見えていない。

そんな事を気にせずココを家まで運ぶ事は簡単だ。マシロがここに現れたように、一瞬にして移動させる事がマシロには出来る。

しかし、先程のココの言葉を聞いてマシロは思い出した。


…そうか。コイツが例の、嘘の奴だ。


以前ココが話していたのは笑華の事だったのだと、マシロは気付いたのだ。

そして先程の反応、あれを見る限りまだココは信用されてないのだろう。


マシロは考える。考えた結果――


「――っ!」


――笑華の前に、姿を表す事に決めた。


「……あ、あんたが、もしかして…、」


驚きのあまり無意識に身を引く笑華に向かって、マシロは告げた。


「僕が、マシロだ」