これは、ココが影を背負った後の決まったパターンだった。
消耗した体力を取り戻そうと、ココの身体は休息を求める。その一番の方法としてココは睡眠をとるので、いつもまるで電源が切れたかのようにパタリと動かなくなるのだ。そんなココをマシロが運んぶのが、いつもの決まりとなっている。
だから今日もそうなるものだとばかりマシロは思っていた訳だが、「うん、でも…」と、何故か今日のココは眠る事を渋った。
そしてそんなココがチラリと視線を送ったのはーー自身を支える、笑華にだった。
視線の先の笑華はもう何がなんだか分からないといった様子で呆然としていて、急に向けられた視線に更に戸惑い始める。ココが誰かと喋っていて話題が自分に向けられた、それがやけに笑華を不安にさせた。
一方笑華を見たマシロはというと、まるで今初めて気がついたという反応をした後に、すぐにその表情を怪訝そうに曇らせて、尋ねた。
「…これは、誰?もしかしてコイツのせい?」
ココを苦しめたのはコイツかと、マシロは敵意を剥き出しにする。空気が重く、鋭いものへと変わっていく。状況が分からない笑華にとってもそれはすぐに感じ取る事が出来て…そんなマシロにココは慌てて制止をかけた。



