それはほんの数秒間の出来事。マシロにしたら、これくらいの事は何の造作も無いことで、そしてこの影は吸収されてマシロの力となった。マシロはこの世にある様々なエネルギーを力にして存在しているため、影もまた、マシロが存在するための原動力となるのだ。
そしココについていた黒い影がすっかり無くなると、ココの呼吸は落ち着きを取り戻したようだった。ゆっくりと胸が上下しているのを確認して、マシロはホッと小さく溜息をつく。
でも…言う事は、言っておかないと。
「…ココ。約束したよね?」
「……ごめんなさい」
「何があったのかと思ったら、コレだもの。あんなに沢山どうやったら引き受けられるのさ」
「……ごめんなさい」
ココは溢れんばかりに溜まった涙を堪えて、マシロの言葉を受け入れる。
マシロは嫌な気分だった。
他の奴のせいでココが傷付いたことに腹が立った。そして、そんな他の奴のために自分を犠牲にするココが気に入らなかった。…しかし、
「マシロごめんね。でも、マシロが来てくれて良かった…っ」



