「……え?」
「だって見えないって言った方が楽だし、マシロだって鬼だなんて言わなきゃ良かったんだ。そうだろ?」
その言葉はココにとって思いもよらない言葉だった。そんな案が考えつかなかったのはもちろんの事、直哉がそう言うと言う事はつまり、それって…
そうだ。それってつまり――
「マキ君、信じてくれるの…?」
すると、今度は直哉がキョトンとする番だった。
「だって、そう言ったの篠宮サンじゃんか」
そう、ココを真っ直ぐに見据えて言う直哉。しっかりと交わる視線に、直哉が本心から言っているんだという事がココには伝わり、その言葉にココは胸が温かくなるのを感じた。
「…うん、言った。ココが言ったんだ」
そう呟くココに、もう悲しみは見られなかった。



