一仕切り笑い終えた笑華は、そう言ってチラリと直哉を見る。


「なんかいー奴そう」


「一つ抜けてるけど」なんて言う笑華に、直哉は「だろー?」と、何故か得意気に答えた。どうやら二人は共通の何かを見出したらしい。

そんな二人に、戸惑いながら交互に目をやるココ。それに気付いた笑華は先程とは違った笑顔でココに言った。


「ココちゃん、あたし嘘つきは嫌い」

「…うん」

「だから早く証明してね」


その時に笑華が見せた笑顔は、照れ隠しのようなくすぐったい笑顔。こんな笑顔を向けられたのもココは初めてで、嬉しくなってやけに大きく頷いてみせたりした。なんだか胸が一杯で、ココは満ち足りた気分になった。


そして円満な空気が漂う三人の間。その時笑華は何かに気づいたようで、チラリと後ろに視線をやると、グッと眉根を寄せて「ねぇ、ココちゃん」とココの名前を呼ぶ。


「あとさ、そんなだから気づいてないと思うけど…少し気をつけた方が良いかもね」

「え?」

「マセガキが多いからさー、最近の高学年は」


心無しか大きくさせたように聞こえたその声。

それはココの向こう側にまで届くくらいな、あえてそうしたかのような声の大きさだった。