直哉はやれやれといった様子で「そこの堅物に言ってんのー」と、笑華を指差した。するとそんな直哉を「人に指差すなって言われなかった訳?」と、笑華は睨みつける…が、直哉の顔を見た途端はたりと、醸し出していた鋭い雰囲気を弱めた。
そして「あー…」と、目を逸らしながら頭をかく姿は、今までとは違いどこか冷静さを取り戻した、そんな風に見える。
「…違うんだよ。なんてゆーか…そう」
「?」
「あたし、嘘が嫌いなの」
「…嘘?」
するとココの問いにそうだと頷く笑華は、「だから嘘つきかもしれないって警戒しちゃってるんだよね、ココちゃんの事」と、少しバツが悪そうにしながらも自分の思いをココに告げた。
“嘘つきが嫌い”
その言葉が今までの態度に繋がるのだと、ココはすぐに納得した。今までの人生でも何度もあったそれ。嘘つきだと何度もココは言われてきていた。でも…今回の笑華のそれは、いつものそれとは少し違っているような気がする。
ココは面と向かって嘘つきと言われる事には慣れていた。だからだろう。だから笑華の表情を見て、いつもとは違うと、直感的に感じとったのだろう。
これはきっと、無意味なやつではない。
「…ココ、嘘つきじゃないよ」
「うん。でもあたしには分かんないんだもん」
「……じゃあ分かった。証明してみせる!」



