そのまま数人と挨拶を交わしたココ。
どうやら直哉はクラスメイトから信頼されているらしく、“直哉の紹介”という形になった途端、周囲から向けられていた堅い空気が和らいだのがココには分かった。
そして何より、直哉は友達が多い。
「マキ君はすごいね!」
「え?」
「友達、すごく多いね!」
尊敬の眼差しをこれでもかと送るココに、直哉はキョトンとしながら「いや、そんな事ないだろ」なんて答える。
「篠宮サンもすぐ出来んよ。大丈夫大丈夫……あ!」
するとその時、直哉は何かに気付いたようだった。一点でを見つめて止められた視線。直哉のその目は教室の入口に向けられている。
それはちょうど、女の子が教室内に入って来た所だった。
「おっす!笑華」
直哉は笑顔でハツラツと声をかける。その声でこちらに気付いた彼女――笑華は、同じく「おっす!」と口にした。



