「え?」
ハッとココはマシロへ顔を向けた。マシロはジッとココの事を見据えている。
「始めは泣いているからだと思った。君の涙に影響され、この場に雨が降り出したのかと。しかし、君の涙が止まった今、弱まる事も無くなぜこうも強く雨が打ち付けるのか。答えは、君がもう一つの事実から目を背けようとしているから。気づかないように、思い出さないように、心が雨を降らしている」
「……もう一つの、事実…」
ポツリと呟くココに、マシロは微笑んだ。もう分かっただろう?君が望んでいるものが。
「君を影から解放してあげる」
マシロの言葉を理解した瞬間、雨粒の勢いが弱まった。ココは一番分かっている。今の自分が何を感じ、何を思っているのかを。
「ココ…初めてちゃんと会ったのは君が影に追われていた時。でも僕はね、もっと前から君を知っていた」



