「…ココは、影が恐い。みんなだってそんなの恐いに決まってる。だから恐い事言うココとなんて仲良くなりたくないと思う。でも…中には、そんなココでも助けてくれる人がいる」
ココは顔を上げずに話し始めた。今どんな表情で何を言うつもりで話しているのかは、マシロには分からない。
「でももしココが本当に仲良くなりたいと思うなら、何があっても、傷ついても、諦めなければきっと上手くいく。きっといつか分かってもらえる。それにそんなのってきっとココだけじゃない。みんな一緒だ」
嘘つきだって言ってたエミカちゃんとだって、仲良くなれた。影に恐がってるのだって気づいてた。でも、それでもココと一緒に居てくれた。
ココ以外の人はみんな同じだ、すぐ仲良くなれるんだと思ってたけど、ユーコちゃんだって友達と違うクラスになっちゃって一人で頑張ってた。同じ事で悩んでたのはココだけじゃなかった。
ナオヤだって…ナオヤはすごい。友達だってたくさん居る。ナオヤだって見えるのに、そのせいになんてしない。ナオヤはみんな同じだって言う。
「…そう。ココだって同じだ。みんなと同じなんだ。みんなと違うって決めつけてたのはココだ。ココが勝手に決めつけて…、」
そこまで言うと、ココは言葉を詰まらせる。
「でも…でも…っ、」
ココは手を硬く握り閉めた。溢れそうになる言葉を押し込めるように。しまい込もうとするように。しかし、そんなことは、ここでは無意味だ。
強くなる雨と共にーー、思いは溢れて出た。
「恐いのっ!どうしても、影に追われるのが恐い!どうしても違うんじゃないかって思っちゃうの!友達なのに!友達だって分かってるのに、もしかしたらってどうしても思っちゃうの!」



