ココとマシロ



そう、ココはまだドアノブに手を添えただけ。まだ力を入れてもいない。それでもココは開かないのだと言い切った。


「だって、ココはここから出ちゃ行けないから…」

「なんで?なんで出たらいけないの?」

「だって…だって、ココはみんなと違うから、みんなココの事あんな風に見る…」

「でも友達出来たってさっきまで自慢気に言ってたじゃないか。挨拶するんでしょ?話すんでしょ?」

「でもそれは他の子はまだみんな、本当の事を知らないからだよ。本当に見えると思ってないもん。ナオヤが紹介してくれたから声かけてくれてるけど…そうだ、そういえばさっきナオヤと喧嘩したんだ、もうナオヤもココの事きっと助けてくれない。もし本当にココが見えるって知ったら、きっとまた怖がって来てくれなくなる。きっと…そうだ、ここに来る前の、昔みたいに…」

「昔は昔、あそこは少し特殊だったから。力との繋がりが昔から強い地域だったのもあって、住民は皆恐れていた。だからだって君も分かってるはずだよ。それにナオヤは怒ってない。見えたって見えなくたって彼は助けてくれるよ」

「じゃあなんで今あそこでナオヤもココの事見てるの⁈怒ってる、みんな怒ってる、ココに怒ってるんだよ!」

「あれは違う、ナオヤじゃない。君がそう思っているのが、」

「じゃあナオヤじゃないならあれは影だよ!きっとそう!この前みたいに影がナオヤになってる!そうだ、きっとそう、ココには分からないから、だからあそこに…もしかして、あそこに居るの全部そう⁈そうだよ、だからみんなこっち見てるんだ!ココの事狙ってて、だからココはーーっ、」

「ココっ‼」