ココとマシロ



そんなの分からない…ていうかさっきから何を言ってるのか正直さっぱり分からないと、ココは思った。思ったという事は…ココの場合、顔にバッチリ書いてあるという事で。


「…ここは、ココの心の中なんだ」


つまり始めから説明し直しだと。そういうことか。
マシロは表に出そうになった苦笑いを心の中に隠した。


「自分の心が分からなくなる時があるでしょ?例えば、この気持ちはなんだろうとか、どうしてこんな事をしたんだろうとか。ここはココの心の中。つまり、この奥へと進んでいくということは、ココ自身の知らないそんな内側の深層心理を知る事が出来るって事なんだ」

「…うーん…」

「…分かる?」

「…うん、なんとなく分かる。ココの気持ちが分かるって事でしょ?」

「そうそう。それでね、ここは今入口だから、ここからはココの奥の気持ちを知りに行くためにもっと奥までココに案内してもらわなければいけない訳だ」

「うん…でも、どうやったら奥に…?」

「大丈夫。ココの想いがここでは現実になるから、君が思うように進めばいいんだ。逆に言えば君がここの道を作る。君が望む所にしかここではいけない」


だからココ、次は君が僕の手を引くんだ。


そういって差し出された手にココは戸惑う。
“でもココは、マシロに消えて欲しくないもん。きっと奥まで行っても一緒だよ”
心の中で思ったはずなのに、マシロには伝わったらしい。「とりあえず、行ってみよう?」なんて優しく言われ、ココは導かれるがままにぎゅっとその手を掴んだ。