「ココ、目を閉じて」

「…勝手に消えない?」

「実はこれっぽっちも信用してないんでしょ」

「ち、違うよ‼」

「……まぁそれは冗談として。大丈夫だから目を閉じて」


そしてようやく目を閉じたココに苦笑いを浮かべるマシロ。さぁ、早く手を取ってやらないと。また駄々をこね始める前に。

そっとココの手を取るとココは驚いたようで、一瞬身体がピクリと跳ねた。そんなココに大丈夫だと伝える。


「想像するんだ。ここは海辺。砂浜の上。足元では波が音を立てている。水は冷たい?」

「…冷たい、と思う…」

「空は?明るい?」

「…明るい…お日様が出てる…」

「そうだね、良い天気だ。ほら、隣に僕がいるでしょう?君の手を引いている。僕は君を連れてどこへ向かおうとしている?」

「…海へ……海の、中へ……入るの?」

「僕の事、信じる?」

「…信じてる……あ、冷たい…」


そのまま、ココは足を進める。海の中へ、中へ。奥へ、奥へ。