やっぱりダメかな、無理なのかな。


そう思い、気持ちがどん底まで落ちかけた、その時だった。


「…――篠宮サン?」


その声に、ココは勢い良く振り向いた。

篠宮は、ココの苗字。ココ、話し掛けられた!と、驚きと感動の入り混じった表情で彼女は声の主を見た。


「!、な、なんかすげぇ勢いだな篠宮サン」


そう、戸惑いがちに言う彼は、襟足が長めでいながらもスッキリとした髪型で、少し釣り上がった瞳は芯の強そうな雰囲気を持っていた。

そんな彼を見て、あれ?と、ココは思う。


「…えっと、あなたは……」

「ん?あ、オレ?オレは牧 直哉」


少し驚いた様子を見せながらも「そっか、転入生だもん、知らねぇよな」なんて、直哉はケラケラ笑いながら言った。