…つまりだ。つまり、ということは。


「君は、ココの事を大切に思っているんだな?」


真っ直ぐに直哉を見つめて、マシロは問うた。

そんなマシロの問いに直哉は思わず言葉を無くし、呆気にとられたような表情でピタリと動きを止めた。が、すぐに質問の意味に対して頭の方がついてきたらしく、「えっと、そりゃあまぁその、なんだ」なんてしどろもどろになりながらも、ハッキリと答えた。


「あ、当たり前だろ!じゃなきゃわざわざ行かねぇよ!」


その後、「別に、そうゆう意味じゃねぇけどなっ」なんて言いながらふいっとマシロから顔を背けた直哉の耳は、うっすら赤く染まっていた。

けれどそうゆう意味じゃないと言う直哉の気持ちがどちらのものなのかなんてものは、実際マシロにとってはどうでも良かった。一つだけ、たった一つだけ自身と約束をしてくれるのであれば。


「…これからも、ココの傍に居てやってくれないか」


マシロはただ、その返事だけで良かった。それだけを聞きにここに来たのだ。


「傍で見守ってやって欲しいんだ。ココが独りにならないように。間違った道に進まないように。ちゃんと帰って来れるように。君にーー頼みたいんだ」