ココとマシロ



マシロは、そんなココを黙って見つめていた。


ココの願いは何だろうか。

僕にずっと傍にいて欲しいと訴えるココ。しかしそれとは逆に、普通になりたいと願うココ。

実は、先日吸収した影。あのおかげでマシロは大分力が元に戻り、今であればココの後者の願いを聞き入れる事も可能になっていた。だがしかし、もしそうすればマシロの力はすっかり使い果たすことになるため、きっともうココの前に現れることは出来ない。ココの願いは、マシロには一つしか叶えてあげることが出来ない。

一体どちらが、ココのためになるのだろうか。


普通になるーーつまり、僕の事も見えなくなるという事。

たとえ僕や影が見えようが見えまいが、直哉のように関係なく付き合っていける奴もいる。実際にその見えるかどうかが人間社会に適応するための大きな問題だとはマシロも思わない。だがココの共鳴具合からすると、やはり対処法を身につけなければならない…そんな事も感じる。

しかしそれ以前に、ココは今までの環境から見えるからいけないと刷り込まれてきていたため、見えなくなったら全てが変わると思っている節もある。そう簡単な話ではないだろう。見ている限り人付き合いには、もっと難しいことがあるのだと思う。とても面倒そうだとはマシロにも感じてるのだが、果たしてココにそれが出来るのか…となると、またなんとも言えない。