「ココちゃん?開けるね」
遠慮がちに扉が開いた。久代だ。
「ココちゃん、喧嘩しちゃったのかな…?ごめんね。私が余計な事しちゃったね」
ごめんねと、とても申し訳なさそうに謝る久代に、ココは布団から顔を出した。
「ううん、違うの。久代さん気にしないで」
「…ありがとう、ココちゃんは優しいわね。…ココちゃん、いつも言うけど、悩んでいる事があるなら、私でよければお話ししてくれていいんだからね。ココちゃんが私に気を遣うこと無いのよ?私も、ココちゃんのために居るんだから」
「…ありがとう。でも、大丈夫。まだ考えてみる」
そして「何か欲しいものとかある?」と、尋ねる久代に「大丈夫」ともう一度答えると、久代はなんだか寂しそうな表情で「何かあったら言ってね」と、ドアを閉めて部屋を出て行った。
はぁ、と、ココは小さく溜息をつく。
「久代さんに悪い事しちゃったな…」
ポツリと呟きながら、真っ赤にした瞳で何も無い空間を眺めていた。



