ーー優しい手が頬に触れる。
そう、いつもこの手が助けてくれる。
真っ白なのに何故か温かい。
両親ともなかなか会えないココにとって、これ以上にホッとするものはなかった。ココは知らないのだ、マシロ以外に自分の全てを受け入れてくれるものを。まだ気づけていないのだ。
それだけ、マシロの存在は大きい。
「…戻ろう、ココ」
その言葉に頷いたココが、部屋へと引き返して行く。
直哉の方を改めて向く事は、無かった。
別れ際にココが呟いた言葉。
「ココだって…普通になりたい…」
この言葉が刺さったのは、直哉だけでは無かった。



