「なん…っ」
“で?”と、ココは言葉を繋げようとした。しかしそれは直哉によって機会を奪われる。
「オレはみんなと同じだ。人間だ。おまえもそうだろ?一緒に遊んだり勉強したり出来るだろーが!他に何がいるんだ⁈ 」
「……」
「影がなんだ!そんなの放っておけばいい!他に合わせることだって必要なんだ、上手くやっていくには自分でどうするかだろ⁈ そんなん、他の誰だって同じだ!それが出来ないのはずっとそうやって甘えてるからだろ!」
「……」
ココは黙って俯いた。
そしてーー、ふっ、と小さく笑った。
「…ナオヤは、影が見える。でも、影に襲われたことが無いんでしょ」
「……」
直哉は答えられなかった。直哉は影が見える。しかし、ココのように自分へ移すことは出来ない。ココほど影と共鳴しないからだ。だからキャンプで起きたようなことだって、直哉は体験した事がない。
「……ほら、やっぱり。違うんじゃん」



