ココとマシロ




そこはいつまでたっても辿り着けなかった始めに入って来た元の場所だった。

外は、とても明るく感じた。夜空の星が遠くで光る。月が光る。近くでは電灯が光る。そしてなぜだろう、空気が軽い。広い。
なにもかもがココには懐かしく感じた。

出て来れたんだ。
マシロに手を引いてもらうだけで、こんなにも簡単に当たり前に出口に辿り着くんだ。あんなに探して、走って、求めた出口。マシロはいつも、ココを導いてくれる。

マシロがいるだけで、何も恐いことなんてない。

外に出た瞬間、ココは込み上げる想いを感じる。


「マシロ、行かないで」


ココはマシロの手をギュッと握る。


「行かないで、ずっと傍にいて」

「?、いるよ?さっきも言ったじゃない」

「ううん、そうじゃないの」