「それにしても…君は軽率だ」


腕の中のココを宥めながら、マシロは呟いた。急に聞こえてきたどこか呆れたような声色に、「へ?」と、思わずココは埋めていた顔をあげる。


「いらないなんて言ったと思えば、結局最後は僕に泣きつくんじゃないか。本当に僕がいなかったらどうしてたのさ」

「…ごめんなさい」

「いや、いいんだけどさ。いいんだけど、僕は心配なんだ。君がこちら側に関与する度に、僕は心配で仕方がない。いつも君は何かしら連れて来る。約束しても、忠告しても、何も意味がない。これじゃあ何も変わらない」


珍しく饒舌なマシロに、ココは黙って耳を傾ける。するとマシロは、こんな言葉を続けた。


「このまま僕が傍にいる限り何も変わらないなら、それはどうなんだろう。それは正しい事なのだろうか。ココにとって僕は本当に必要なのだろうか」


思いをそのまま口にしているのであろうマシロの呟き。でもそれだけはーーココは黙ってやり過ごすわけにはいかなかった。