「……マシロ?」


ココが声をかける。…が、返事はない。


「ねえ、マシロ」


ーーその声かけは誰に気づかれることなく、目の前の空間へと消えて行った。
もはやただの独り言以外の何物でもない。

消えた。マシロが消えた。


「……いいもん。一人でも大丈夫だもん」


一体誰に向けて呟いたのか、ココ自身にもそれは分からなかったが、今の自分にはこの言葉以外何も残されていなかった。

その背景に、“どうせすぐに戻ってくるだろう”そんな思いが潜んでいたということも事実だ。マシロが戻ってこない訳がない。だってマシロはいつもそばにいた。きっと明日になれば戻ってくるんだ。


しかし、その思いを否定するように、それ以降マシロがココの前に姿を表す事はなかった。

マシロは、姿を消したのだ。