『どうしてそんな風に言うの⁈』


授業中、直哉はその言葉を思い返して、小さく溜め息をついた。


別に意地悪をするつもりなんてなかった。ただ、直哉にはどうしても心配だったのだ。

常にマシロを中心にして回っている、ココの事が。


彼女はきっと想像もしてないだろう。マシロが居なくなる世界を。マシロが居ない、明日を。

いつから二人が一緒に居るのかなんて分からないけれど、どれだけ二人がお互いに依存しているのかはすぐに分かった。

自分の気持ちに忠実な鬼らしい奴。しかし一方で、だからこそココのために生きる、鬼らしくない奴。

だから、今すぐにマシロが居なくなる事は無いだろうとは思う。思うけれど――


――それはいずれ、必ずやって来る。


直哉はそれを知っていた。だからこそ余計に二人に気をかけていた。そして何故か感じる嫌な予感もまた、その行動に拍車を掛けたのだと思う。