しかし、ココが怒っているにも関わらず、直哉の態度は何も変わらない。「ほんとかよ〜」なんて、飄々とした態度を取るのだ。それがまたココの苛立ちを増幅させた。
「どうして⁈ ナオヤはどうしてそんな風に言うの⁈ 」
「そんな風?」
「なんかすごく意地悪!今日は前よりずっと意地悪!」
「そうかな」
「そうだよ!酷いよ!」
ココは直哉を睨み付けるようにして言う。
直哉がなんでそんな事を言うのか、ココにはさっぱり分からなかった。ただただココは直哉から意地悪をされてる、というようにしか捉える事が出来なかったのだ。
「キャンプ!絶対一人で行くもん!コ、…わ、わたしも出来るもん!マシロが居なくても平気だもん!」
――マシロが居なくても平気。
この時口にした言葉の重みを、ココはまだ知らない。



