「本当だ!なんだか急に仲良くなった気がする!」と、嬉しそうにした後、自分もそうしようと口を開いたのだが…気がついた。


「あ…えっと、何ちゃんだっけ?」

「……祐子です」

「そっか!ユーコちゃんね!」


そしてもう一度「ユーコちゃん」と呼んでみせ、ふふふと満足げにココは微笑む。
するとそれを見た祐子もまた、嬉しそうに微笑んだ。そんな二人に、直哉はなんだか安堵の溜め息が出たのだった。



「あ、そうだ!塾!」と、すっかり忘れていたその事実に、祐子は急いで靴を履き替える。そして、「またね、ありがとう」と告げて、元気良く走り去っていった。


「じゃあねぇーユーコちゃーん」


祐子の後ろ姿に向かって大きく手を振るココ。あっという間に見えなくなった彼女の姿に、ココは上げていた手をそっとおろして、隣に立つ直哉へと目を向けた。