「鈴木さーん!まだ居たんだねー!」
「!」
突如飛び付く勢いで現れたココは「塾まだだったんだ、良かったー」と、近い距離にやたら大きな声という距離と声のバランスが合わないまま、祐子に声を掛ける。
そんなココに、祐子はビクリとしたままその場に硬直してしまった。…が、しかし。いつもの事ながら、ココには関係無いらしい。
「あのね、コレ!コレあったよ!」
「――…え?」
「ね?これで合ってるかな?合ってるよね⁈ 」
確信と共にズイッと差し出したココの手の中には、小さなクマのキーホルダー。それを確認した瞬間、祐子の目に喜びの色が射すのが分かった。
「こ、これ、あったんだ…っ!」
祐子はキーホルダーをそっと受け取り、ジッと眺める。そして壊れ物を扱うように大切に、優しく握りしめた様子を見て、ココは心がポッと温かくなるのを感じた。



