思わず大きな声で答えるココ。それは今までの経験がそうさせたもので、否定しなければと焦ったからこそ出てしまった声量。

…しかし否定するためのものだったその声のせいで、声を聞き付けた他のクラスメイトが更に集まって来た事によって、ココは見つけてしまった。


「!、ねぇ!どうしたの?それ!」


その中の一人が抱える、大きな、大きな影。


「すっごく辛そう……大丈夫⁈ 」


辛さを知っているココは、声を掛けずにいられない――しかし、



「……何を言ってるの?」

「何って、だって後ろに大きい黒いのがついてる……」


その瞬間、ココは自分を取り囲む空気が変わった事に気付いた。

異物を見る、冷たい瞳。
奇妙なものを見る、好奇の瞳。
恐ろしいものを見る、怯えた瞳。

まるで時間が止まったようなこの状況が、ココには身に覚えがあった。