イケメンゴースト


  「…杏ちゃん!」

ずっと目を閉じて祈っていた 私の耳に
機械音とは違う
人の声が聞こえてきた。

ハッとして顔をあげると
そこには夏のお母さんがいた
 「杏ちゃん。夏は…?」
 「夏は検査中です」

ヒステリックに泣き叫ぶ
夏のお母さんとは対照的に
私は冷静に答える。

「なんで…なんで夏なの」
  「………」
その問いには答えられなかった。
かわりに止まることなく涙が次々に溢れてくる。