「夏…」 唯一動かせるように 固定されていない 左の手のひらを握ると 温かくはなかった。 不安がどんどん大きくなってく。 「もぅすぐ病院に着くので 安心して下さい」 白衣を着た医師の1人が 夏に酸素マスクをつけながら 私に話しかける。 「はい」 私は夏から手を離すと 祈るように手を握った。