震える手で病室のドアを開ける。 「おはよう。……杏」 「おはよ………」 「この前はごめん」 「いいよ。別に。……夏に話があるんだ」 “話がある” もし今の2人の間にこの話題が出たら絶対別れ話と誤解されるだろう。 でも あえて私はこの言葉を選んだ。 「話って……?」 不安な表情で聞いてくる夏に私はやっぱり下を向いてしまう。