小刻みに震える指で携帯を掴むと、携帯の画面は夏の名前を表示している。 「……っ……っ」 でもでれない。 今でたら何言ってしまうかわかんない。 夏を傷つけるようなことを言ってしまうかもしれない。 体に出来た傷は日がたつにつれて、簡単にまるで当たり前かのように消えていくけど 心に出来た傷は日がたっても謝られてもそう簡単には消えない。 それをわかっているから、 夏の過去もわかってるからこれ以上夏を傷つけたくない。 私は電話を切る。 同時に電源も切る。