17歳の不良と6歳の殺し屋

そして、翡翠の手の中のSIGを奪い取って身柄を無理矢理起き上がらせていた。
それに翡翠はニヤリと笑う。

「勝たせてやる。これからもっともっとお前を、私が強くしてみせる…」

雫は翡翠の言葉に応えるように命一杯(めいいっぱい)に睨み返した。


「なんか、無理矢理だな~」

相変わらず能天気のハリスの言葉にギロッと翡翠が睨み雫は確かに誘導尋問っぽかったな…と少し気が落ちた。

そこで、翡翠はこの緩んだ空気を戻すためにコホンッと業とらしい咳払いをした。

「…それで、雫お前どれくらい動ける?」

「どれくらいって?」


翡翠は雫の傍を離れて窓際に行き壁にもたれながら腕組をした。

「お前が受けた毒はとても特殊。ある麻薬を微量に混ぜてほんの少量の混入でも瞬時に相手の身柄の自由を奪う。しかもそれは人によっては副作用をもたらすモノで下手したら十日は動けない」

翡翠の言葉に段々目が点になっていく雫。
それにハリスは笑ってヒラヒラと雫の前に手をかざす。

「だ~いじょうぶだって!今動いてたろ?」

それでも不安は隠せなかったのか少し冷や汗をかいて翡翠に訊ねる。

「……他の副作用は?」

「恐らくないわ。お前は案外毒に強い体質らしい」