17歳の不良と6歳の殺し屋

雫はそう考えながらも力は緩む事はなかった。
というより、頭で理解するよりも先に体が勝手に動いていると言った方が正しいのかもしれない。

男達は雫の様子に数歩下がるとその間に少し雰囲気の違った男達が現れた。
一人は今時見かけないモヒカンでもう一人は坊主。そして酷く荒れた長髪の大きな傷のある男だ。
雫はその3人を見た瞬間に猛烈に苛立ちが起こった。
何故だかは、わからない。ただ苛々とした。

その三人が前に出ると周りの男達が歓声をあげた。
ぎゃーぎゃー騒がれる事に更に雫の血管が軋む。

「はいはい。ちょっとごめんね~」

坊主の男が気軽に話しかけてくる。その笑みはネト付く様な嫌なものだった。

「ひゅーかぁわいい」

次に発したのは長髪。こちらもニヤニヤと、とても気持ちの良い笑みだとは言えない
そして最後にモヒカンの男が少し前かがみになりこれでもかという位に雫を睨んだ。

「あんま調子こいてんじゃねーよ…」

瞬間、その男から数本のナイフが飛んできた。それを雫はヒラリと避ける。

(不意打ち…)

殺気で何かしてくるとわかってはいたが不意打ちに変りはない。
雫はユラリと亡霊のように立ち尽くす。