17歳の不良と6歳の殺し屋

懐かしい記憶がある。思い出すと笑えてくる記憶。思い出。
こんな当たり前に近くにいる存在。笑顔。思い出。仲間。
そうだ。こんなにも短い間なのにそこにはもう何年分かの思い出がある。

母親と二人きりの人生はなんと色あせたものだったんだろう。
感情を表出す事はなんて簡単な事だったんだろう。

一分一秒がこんなに大切だっただろうか…。

「私、翡翠に出会えてよかった」

そう私が呟くとハリスは嬉しそうに笑った。ハリスはやっぱり翡翠が大事なんだなと思った。

「雫、俺は?」

「ハリスとも」

「俺もだ」

二人で小さく笑い合う。



でも、もっと、私が強くなって。もっと絆が深くなったら、そうしたら教えて欲しいと思う。

二人の過去。


でもまだ、その時ではないから。私は何も聞かない。


いつか笑って話そう。どんな辛い過去でも、私たちには現在(いま)がある。