17歳の不良と6歳の殺し屋

雫は血だらけの短剣をカラリと草地に落とした。雑草に血がまだらに、ねっとりと付着する。
ガクリと両膝を付いた。
雫は無言で少女を抱き起こす。
胸に痛々しく空いた穴。そこから血がドクドク噴出している。
雫の両腕はその血で真っ赤に染まって行った。
涙で濡れた顔。赤茶色の髪が額に張り付いている。雫はそっとその髪を両脇に除けてやった。
幾つくらいだろうか?恐らく見た目からしてその少女は14かそこらだろう。
借金で売られて…男達の会話を思い出す。
痛々しく焦げた頬を見て、雫は涙を流した。


「ごめん…ごめん、ねぇっ…ッ!!」


ぎゅっとその少女を抱きしめる。
殺した、殺した殺した殺した殺した殺した。



わたしは人殺しだっ!!





「…っぁうあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」










雫の叫びが暗い森に響いた。


ガサリと茂みが揺れる。


「……雫?」

そして翠の髪を揺らした少女が駆け出す。