「……!!」
雫はヒュンッという音に身を引いた。そして次の瞬間ズウウン!!と言う爆発が目の前で起こった。
「な……に…?」
雫の視界に映るのは燃え上がる火と二つの黒い影。
爆発は小さなものだ。そうでなければ投げた本人だって一溜まりもないだろう。
何故投げた?
それは雫が、ここにいたからだ。
…そして仲間も。
「お~やったか?」
「わっかんねーよ」
唖然と立ち尽くす雫は炎の向こうで聞こえてきた声に耳を傾けていた。
「わかんねーじゃダメだろ!」
「せっかく囮で捕まえようとしたのによ」
「てか、災難だよなぁ~借金返せねぇ家の息子かっさらってこんな所で囮にさせられる
なんざ」
炎はユラユラと揺れ動き、熱風を巻き起こしている。顔などの肌がヒリヒリと痛む。だがそれ以上に雫は言葉一つ一つを聞いてこの状況を理解しようとしていた。
つまり、これはなんの経験も無いこの二人の少年を先頭に出し、自分達は物陰に隠れて、近づいて来た私たち共々この罪も無い人を…
『ああ…どうしてこんな事に…』
一人の男の泣き顔が頭に浮かんだ。
どうして、自分はあの時、おかしいと思いつつ近づいたのだろうか?
どうしてもっと深く考えなかった…?。
嗚呼、あの二人を殺したのは私ではないか…!!
「…ちっくしょおおおおおおおおお!!」


