17歳の不良と6歳の殺し屋

そう、初めてハリスが獲物をとって来た日、目の前でいきなり動物を解剖していく様を見て思わず吐きそうになったのはそう遠い記憶ではない。
もちろん料理をしていれば肉を切るなんて当たり前の事だが、余りに過程が違いすぎる。
因みに母親は鳥を目の前で殺されそれを丸焼きにして食事に出されたという幼い日の出来事のおかげで今現在も鳥は食べられないのだ。
だが、雫は日頃の料理と、血を見慣れている生活もあってそれだけは間逃れた。
復活するのには時間がかかったが、まぁ普通の人間よりは早い方だろう。

雫は渡された肉を持ってまた料理に取り掛かる。

「そういや、翡翠はどうした?」

「果物を取りに言ったよ」

「ふうん、俺、シャワー浴びてくるわ。ケモノ臭ぇし」

「おー」

ハリスはさっさとバスルームに向って行った。

「コルダー」

「何なの。雫?」

「今日シチューにすんだけどさ」

「わぁ、おいしそうなの!」

「うん、で、牛乳なくなるから明日また取りに行ってくれる?」

「了解なの~」



(あ~なんかいいな。こういうの)

雫は鍋をグツグツ煮込みながら考えていた。傍らからジューッと肉が焼けている。
雫は同年代の友人などおらず、まぁ、こいつらも同年代の友達というわけではないが。
仲間というものを始めて味わっているわけだ。