「ここの奴らってのはな。」
「うん?」
「価値で人を見るんだよ」
「価値?」
「そうだ」
雫にはハリスの言っている意味がわからなかった。だが、酷く氷ったような瞳になんだか、心が痛むような気がした。
「私は、ハリス、嫌いじゃないよ」
『私は、ハリス嫌いじゃないわ』
「ハリス?」
雫は急に立ち止まって、大きく目を見開くハリスを心配そうに見た。ハリスは未だに立ち止まっている。
すると、ハリスは少し顔を下げた。
雫からではその顔色が伺えない。
「…へ、翡翠と同じ事言いやがる…」
ボソリとハリスは呟いた。だが、それは雫に届かない。
「へ?何、ハリス聞こえない」
雫がハリスに近づき、下から顔を覗き込むようにすると、急にガバッとハリスは顔を上げた。それにビックリしているとハリスは少年のような輝かしい笑顔で
「俺も雫好きだぜ!」
と返した。


