「ここを上がれば着くわ」
翡翠がまず、上がっていき、四角い蓋を押して外にスルンッと出て行った。
そして穴から顔を出して、次来なさい!と声をかけた。
雫は、はしごに手をかけた。不安半分に妙な興奮半分といった所だろうか。
外に手を掛けるとグイッと腕をひっぱられた。翡翠にしては大きくてかさついた手に。
「よう~雫、久しぶりだなぁ」
「…ハリス!!」
雫の手を引いたのはなんとハリスだった。
後ろから「よいしょ」という声がする、コルダも上がってきたようだ。
「あ?なんだネズミもいんのか?」
「能無しにとやかく言われる筋合いはないの」
急に険悪になった空気に雫は戸惑うが、翡翠は済ました顔をしている。
「ね、ねぇ…ハリスってコルダと仲悪いの?」
「違うわ」
「じゃあ、なんなの?」
「ハリスと仲のいい同業者なんて見たことないわ」
「え…それってどういう…」
「案内するぜ!雫!!」
雫が翡翠に問いかけようとすると、ハリスの声が重なった。振り向くとハリスはニカッとした笑顔を向けていた。


