17歳の不良と6歳の殺し屋

雫本人はあまり納得していないようだ。だが、そうでなければ納得できないだろう。

「でも、前までは男達との遊び半分にやってた勝負事、ゲームとかでも勝ってたんだよ?」

「うん、そうなの。それも説明すると…」

翡翠も雫も興味深そうにコルダに向き直った。

「雫は、翡翠と出会うまではその日常そのものが張り詰めたものだった。違う?」

「……」

「毎日、毎日気配をさぐる様に気を張っていた。どんな時も手を抜かない。そうだった
んじゃないの?」

「まぁ、そうだったかもね」

「翡翠と出会って。雫は変った。弱くなったんじゃない。誰かを頼る事。誰かを信用する事を覚えたの」

「…それっていいことなの?」

「雫、戦争はね。一人じゃ出来ないの」

そりゃ、そうだけど…と雫は眉を顰める。

「まったく、いい迷惑ね。」

「わ、悪かったね!」

翡翠はフンッとそっぽを向いて歩き出した。

「人に頼ってないで、もう少しそこで練習していなさい」

そう言って雫からスタスタと離れていった。

「わかってるよ!」

雫は頬を膨らませながら練習を再開させた。