１７歳の不良と６歳の殺し屋

「待ってよ！」


慌てて雫は追いかける。
足元でパリン！パリン！と音が響く。割れたガラスの破片が飛び散っているのだ。他にもどこから入ったのか木屑などが散乱している。誇り臭さが眩暈を起こさせる。
良く見れば窓は一つもなかった。
つまり、空気の入り口はあの錆付いた扉しかないという事になる。
そう考えるとあまりの空気の汚染さに雫はオエッと吐きたい様な感覚になった。


足元から音を響かせて翡翠を追う。
一歩動く度にこの音だ。気配も何も感じさせずにあんな速さで動く小さな翠の頭を見ながら、翡翠と自分の差を改めて思い知らされた気分だった。
実際そうなのだが。
やっと、翡翠に追いつくと、翡翠は真っ暗な部屋の隅で口に小さなペン型ライトを銜えて何やらしゃがみこんでいた。