17歳の不良と6歳の殺し屋

屋根は狭いが横の広さが半端無い。そりゃ体育館全体だとすれば当たり前なのだが。

「なんか変な感じ」

雫がそう呟いていると、自分の手前の真下。ロウソクの隣から声が発せられた。

「ちょっと、まだ気付いてないの?」

「うわぁっ!」


驚いて後ろに飛び退くと二人分の溜息が聞こえた。

「……翡翠、この子大丈夫なの?」


「……ちょっと前までは大丈夫と言えたわ」


雫が驚いたのは、いきなり発せられた声にも原因はあるがそれだけではない。
問題はその声の主だ。
少し掠れた声の主…少年の顔は黒く塗りつぶしたかのような濃いクマと半開きの目。
さらに少し薄めの金髪で先がヨレヨレとちぢんでいる。
ハリスのは恐らくオシャレなのだろうが、確実にこっちは自然現象だ。悪い意味で。