17歳の不良と6歳の殺し屋


雫は立ち上がって階段を駆け上がった。階段はとても狭く急であった。
だが、古びた感じはなく真っ暗だがとてもしっかりした足場なのはよくわかる。そのまま真っ直ぐに上がって行くと、足がガクンッと下にさがった。
どうやら、もう階段はないらしい。試しに前に手を延ばしてみるとそこには壁があった。
もし、勢い良く走り込んでいたら確実に顔面衝突していただろう。
そして右側が空洞になっている様なのに気付く。真っ暗で本当に何も見えないのだ。
恐る恐る一歩足を踏み出すと遠くの方で小さなオレンジ色の光が見えた。

「雫」

小さく雫を呼ぶ声が聞こえた。

「こっちよ」

それは紛れもなく翡翠の声だ。
雫は転ばない様に気をつけながらその小さな光に向って歩いた。

「ちょっと、ここ明かりくらいちゃんとしようよ」

「まだこの暗がりに慣れないの?」

翡翠の呆れたような声が段々と近くなって来る。