【短】ワガママ男とわがまま女



「ねぇサヤ。暇なんだけど。」


またこうして、

わたしは樹が新しく入手したマンガの新刊を読み耽って、

暇人の樹はそんなわたしの頬っぺたをツンツンつついて。

多分、

こんな他愛ない毎日が続くんじゃないかな。

でも、これでいいと思う。

わたしと、樹のスタイル。


「それ、やめて?」


……ちょっと、ウソ。

ほんとは、やめなくていいよって思ってる。

構ってほしいってわたしを求める樹が、たまらなく可愛くて好きだから。


「じゃあ、サヤからキスしてよ。」


ぷいっと目線をそらして、膨れっ面をする樹。

わたしはフっと頬をゆるめて、その膨らんだ頬っぺたにキスをする。


「……!?!?」

「好き、樹。」


真っ赤な顔した、私の彼氏。

どうしようもないバカで、

カッコつけで、

ときどき可愛くて。

ワガママ男な樹。

でも、それが樹の愛情表現なんだってことわかったよ。



意地っ張りで、口が悪くて、

わがままなわたしだけど……


ずっと、わたしのそばにいてね。






    *end*