【短】ワガママ男とわがまま女



「そっ...そんなことやっていいと思ってんの!?」

「...うっ..ごめっ、サっ...苦しっ...」


なんかもう...

泣きそうになりながら(ってか泣きながら)、胸ぐらをがくがくと揺さぶる。

ひどく苦しそうにしてる樹に構いもせず。


ヒドすぎる!

いくら不安だったからって...

そんなことして許されると思ってるわけ!?


本気で樹がわたしのことを嫌いになったんだ、って純粋に悩んでたわたしって何!?

バカみたい!

気持ちを確かめるにも、もっと他の方法があるんじゃないの?


「サヤっ......離し、て?」

「うるさい! 謝れ、バカ樹!」

「...ゴメンナサイ」


しゅんとした顔をして謝る樹を見て、胸ぐらを掴んでる手の力が弱まったとき。

樹はわたしの手から逃れて、はぁはぁと乱れた息を必死に整える。



「わたしのこと、嫌いになったんじゃないかって思った。」