「オレは、サヤじゃなきゃダメなんだ。 サヤが好きなんだよ! だから出て来...っぶッッ!」
樹の言葉は遮られた。
わたしがバンッ!! と思いっ切り開けたドアによって。
「いっ....いってぇ....!」
顔を両手で覆っていることからして、顔面を強打したらしい樹。
床に尻餅をついて、悲痛な声を上げて痛がる姿を冷たく見下ろしながら、パタンとドアを閉める。
「急にドア開けんなよ!....って...さっ...サヤ?」
涙目になりながら文句を言い付けるけど、わたしの冷ややかな表情を見て顔面蒼白になり、ビビり始める樹。
わたしはそんな彼の前で膝をつき、ガっと胸ぐらを掴んで訴える。
「わたしが...どんな思いしたと思ってんの?」
いつの間にか、わたしたちの周りには男女共に野次馬が集まっていて。
わたしの女子らしからぬアリエナイ行動に野次馬は驚きの声を上げるけれど、周りを気にしてる余裕なんてわたしにはなかった。

