「サヤは、オレのこと好きじゃないんじゃないかって......こんなだっせぇこと、言えなくて。」
初めて聞いた樹の弱音に、ひとり目を見開くわたし。
うそ...
そんなこと思ってたの?
いっつも余裕綽綽で...、
自信に満ち溢れた樹が?
わたしなんかで、不安になってたの?
――――キーンコーン......
こんな状況に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
けれど、樹は構わず続けた。
「サヤはオレに、好きとか言ったことなかっただろ?」
考えてみれば、なかったかも......。
好きって思ってても、言葉になんてできなくて。
そんなキャラじゃない、って思って...。
言わずともわかってくれてるってわたしが勝手に勘違いしてただけで、
余裕綽綽男、樹だって不安になるんだ......。
全部わたしのこと見透かしてるって、甘えてただけだったんだね...。

