【短】ワガママ男とわがまま女



何?

樹はわたしに何を言わせたいの?

何を望んでるの?求めてるの?


樹がわかんないよ...!



「お似合いだって思ったわよ!」


これっぽちも思ってなんかない言葉が、わたしの口から飛び出したとき。

ガッとありえないくらい強い力で両肩を掴まれて、無理矢理樹の方を向かせられる。



「本気で思ってんの?」


いつにない、樹の真剣な表情。

わたしは、不謹慎にもドキっとしてしまう。



「マジでそんなこと思ってんの?」


きゅっと口をつぐんで話そうとしないわたしに、何度も同じ質問を浴びせる。



肩を掴む手に、グッと力が入る。

その肩が痛くて、目の前にいる人は樹であって樹でないみたいだった。

だって樹は、わたしが嫌がるようなことや痛がるようなことは、一切しない人だったから。