「木村センセー?」


体育館とは正反対に、静かな保健室。

保健の木村先生はいないみたいだった。



「......あー、疲れる」


勝手にベッドに寝転がるわたし。

わたしの中のムカムカとイライラは一向に収まるようすを見せない。

むしろ、募るばかりだ。



「ボケ樹。浮気者。変態!ワガママ男!」


誰もいないことを良いことに、わたしはひとりきりの保健室で樹の悪口を始めた。



「嘘つき樹。アホ樹。鼻の下デレデレ伸ばしてんじゃないっつーの。」


悪口なんて、いくらでも出てきてしまう。


やばい。

『好き』って気持ちの分、悪口に変わってく。


こんなわたしだから、樹は心変わりしちゃったのかな。