ガラクタ姫


バランスを保ちながら渡るあたしに友達はクスクスと「ヘンなの」と言って笑う。

最初は「えへへ」と笑って返していたが、いつの間にかその言葉が怖くなっていた。

他にも、教室であたしは窓側の席なのだが、その反対側の廊下側の席にある壁に大きなくぼみがある。

大きいが浅いくぼみで最初はちょろっと誰かが「くぼみがある」と呟いていたが、今じゃ誰も気に留めなくなった。

あたしはそのくぼみのことがずっと気になっていて、触りたくって仕方なかった。

触ったらきっと何かが起こる。

その何かがなんだかわからないけど小さくても大きくても何かが起こるんだって信じていた。

休み時間、あたしはそのくぼみに惹かれて滅多に離れない席から立ち、廊下側の壁にあるくぼみをペタペタと右手で触った。

ひんやりとして、気持ち悪い。

くぼみの中はぼこぼこしていた。