「言ったじゃない。この世に“ヘン”なんてないよ、って。
“ヘン”を数えたらそれはゼンブになっちゃうんだから。」
それは昔、言ってくれたユタの言葉。
その言葉に繋がって、あたしはユタに導かれた。
それなのにあたしはまた“ヘン”という言葉に絡まっている。
抜け出したはずの“ヘン”から未だに抜け出せてなかったのだ。
「あたし…あたしでいるの…怖いよ…。」
泣きべそかくあたしにユタは優しく頭を撫でてくれる。
「だれだって自分が自分のままでいるのなんてコワいよ」
ユタの言葉はいつも深い。
深くてよく分からない事がいっぱいある。



